【小児科医が解説】こどものワクチン(予防接種)ガイド〜同時接種・副反応・スケジュールの基本から注意点まで
こんにちは、現役小児科医の『つき先生』です (医師5年目、小児科専攻医)。
赤ちゃんが生まれて生後2ヶ月になると、いよいよ「予防接種(ワクチン)」のラッシュが始まりますね。
「こんなに小さな体に、一度に何本も注射して大丈夫なの?」
「種類が多すぎてスケジュールが分からない…」
「副反応が怖い」
初めての予防接種を前に、不安でいっぱいになるパパやママは本当に多いです。日々の小児科外来でも、お父さんやお母さんからたくさんのご質問をいただきます。
今回は、現役の小児科医である私が、予防接種がどうして必要なのか、ワクチンの種類や同時接種の安全性、そして「ロタウイルスワクチン後の腸重積」や「BCGのコッホ現象」といった特に知っておいていただきたい注意点から、当日の過ごし方まで、専門用語を使わずに分かりやすく、徹底的に解説します!
この記事でわかること
- ワクチン(予防接種)がどうして必要なのか、その本当の理由
- 「同時接種」は本当に安全なのか、その医学的な根拠
- ワクチンを打った後の「お熱」など、副反応への正しい対応
- 絶対に知っておいてほしい「腸重積」と「コッホ現象」のサイン
- ワクチン当日のよくある質問(お風呂、ミルク、お熱の基準など)
- パニックにならない!スケジュール管理のコツ
お急ぎの方、育児の合間にサクッと確認したい方は、まずはこちらのまとめをご覧ください。
- ワクチンは「最強の盾」
免疫をつけて、命に関わる重大な病気を防ぎます。 - メリットが絶対に上回る
定期接種において、副反応(デメリット)がメリットを上回ることは絶対にありません。 - 種類による違い
「定期接種」と「任意接種」がありますが、いずれも重要性は同じです。「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の違いもあります。 - 同時接種は安全です
複数のワクチンを一度に打つことは世界中で推奨されています。早く確実にお子さんを守るために大切です。 - 当日のルール
37.5度以上のお熱がある時は打てません。
ミルクは直前を避け、お風呂は接種後1時間経てば入ってOKです。 - 特別な注意点
ロタウイルスワクチン後の「腸重積」や、BCG後の「コッホ現象」については、正しい知識を持っておくことで落ち着いて対処できます。
ここからは、さらに詳しく一つひとつ解説していきますね。
ワクチンってなに?どうして必要なの?

そもそも、なぜ痛い思いをしてまで予防接種を受けないといけないのでしょうか。
ウイルスや細菌から体を守る「免疫」をつけるため
私たちの身の回りには、病気を引き起こすウイルスや細菌(病原体)がたくさんいます。
ワクチンの接種を受けると、私たちの体に「免疫(抵抗力)」がつきます。
あらかじめ免疫をつけておくことで、もし病原体が体に入ってきても、感染症にかかるのを防いだり、万が一かかってしまっても重症化するのを防いだりすることができます。
ワクチンで防げる病気はすべての感染症ではありませんが、防げる病気はどれも「かかると命に関わる、または重い後遺症が残る重大なもの」ばかりです。
だからこそ、予防が何よりも大事なのです。
自分だけでなく「社会全体」を守るため
ワクチンは、お子さん自身を守るだけでなく、社会全体を守る役割も持っています。
多くの人がワクチンを打って免疫を得ることで、社会全体で感染症が流行するのを防ぐことができます(これを「集団免疫」と呼びます)。
★小児科医の視点:ワクチンのメリットがデメリットを上回る理由
「ワクチンを打って副反応が出るのが怖い」と不安に思う親御さんは少なくありません。
しかし、小児科医としてこれだけは断言できます。
「子どもの定期接種において、副反応というデメリットが、命を守るというメリットを超えることは絶対にありません」
一昔前、日本にはジフテリアやポリオ(小児マヒ)といった、子どもが死に至ったり一生の後遺症が残ったりする恐ろしい病気が蔓延していました。
しかし、ワクチンの普及により、国内からこれらの病気は事実上「全滅」しています。
また、私が日々実感しているのが「Hib(ヒブ)」や「小児用肺炎球菌」ワクチンの効果です。
これらは「細菌性髄膜炎(脳の膜に細菌が感染する病気)」を防ぐワクチンです。
これらが定期接種化されてから、小児科病棟から恐ろしい細菌性髄膜炎の患者さんは劇的に減りました。
今では研修医が髄膜炎の患者さんを一度も診ないまま研修を終えることもあるほどです。
ワクチンが増えたことで、子どもたちは過去の悲しい病気から確実に守られ、本当にいい世の中になりました。
だからこそ、自信を持ってワクチンを受けていただきたいと願っています。
ワクチンの分類と特徴(定期・任意/生・不活化)

予防接種のスケジュールを見ると、さまざまな分類があって少し難しく感じますよね。
ここでは大きく2つの分類について分かりやすく解説します。
定期接種と任意接種の違い
予防接種には大きく分けて「定期接種」と「任意接種」の2つがあります。
- 定期接種
国が「受けるように努めなければならない」と定めているワクチンです。
決められた期間内であれば、原則として公費(無料)で受けることができます。 - 任意接種
受けるかどうかは保護者の判断に任されているワクチンで、基本的には自費(有料)となります。
(お住まいの自治体によっては補助が出る場合もあります)
ここでぜひ知っておいていただきたいのは、「任意接種だからといって、病気の重要性が低いわけではない」ということです。
任意接種のワクチン(例えばおたふくかぜワクチンなど)が防ぐ病気も、重い合併症(難聴など)を引き起こす怖い病気です。
小児科医としては、任意接種のものもスケジュールに組み込んで、できる限り接種していただくことを強くおすすめしています。
生ワクチンと不活化ワクチンの違い
ワクチンには、作り方によって「生ワクチン」と「不活化ワクチン」という種類もあります。
- 生ワクチン(ロタウイルス、BCG、麻しん風しん、水痘など)
病原体の毒性を、症状が出ないレベルまでギリギリまで弱めて作ったワクチンです。
実際に非常に軽い感染を起こさせるような仕組みなので、自然に感染した場合と同じように、免疫が長く続くのが特徴です。
1回〜数回の接種で十分な免疫が作られます。 - 不活化ワクチン(Hib、肺炎球菌、B型肝炎、四種混合など)
病原体を殺して(不活化して)、免疫を作るのに必要な成分だけを取り出したワクチンです。体の中で病原体が増えないため、1回の接種では十分な免疫がつきません。
そのため、複数回(3〜4回)接種して、少しずつ免疫を強固にしていく必要があります。
★小児科医の視点:一生有効なわけではない?
「ワクチンを打てば、一生その病気にかからない」と思われがちですが、実は多くのワクチンで、時間が経つと少しずつ免疫が落ちてくることが分かっています。
だからこそ、決められた回数をしっかり打ち切ることや、必要に応じて追加接種をすることが大切になります。
「同時接種」って本当に大丈夫?(接種間隔について)
生後2ヶ月になると、Hib、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスと、いきなり複数のワクチンがスタートします。
複数のワクチンを一緒に打っても安全です
「小さな赤ちゃんに、両手足に何本も注射を打つなんて可哀想」
「副反応が強くなるんじゃないの?」
と心配になりますよね。
結論から言うと、複数のワクチンを一度に打つ「同時接種」は、安全性がしっかりと確認されています。
別々に打った場合と比べて、ワクチンの効果が落ちることも、副反応が重くなることもありません。
これは日本の小児科学会はもちろん、世界中の医療機関で推奨されている標準的な方法です。
なぜ同時接種をおすすめするのかというと、
「赤ちゃんを一日でも早く、確実に病気から守るため」です。
1本ずつ打っていると、すべてのワクチンを打ち終わるまでに何ヶ月もかかってしまい、その間に怖い感染症にかかってしまうリスクがあります。
赤ちゃんは注射の瞬間は泣いてしまいますが、同時接種は早く確実にお子さんを守るための、優しくて合理的な選択なのです。
ワクチンの「間隔」は医師とアプリにお任せ!
「このワクチンの後は何日あけるんだっけ?」と悩むかもしれませんが、細かいルールは覚えなくて大丈夫です!
複雑なスケジュール管理は、かかりつけの小児科医と、後述するスマートフォンのスケジュールアプリにお任せして、同時接種でどんどん進めていきましょう。
知っておきたいワクチンの副反応

ワクチンは薬の一種なので、免疫をつける過程で「副反応」が出ることがあります。
よくある副反応
- 注射した場所が赤くなる、腫れる、しこりになる
- 発熱、機嫌が悪くなる、少しミルクの飲みが悪くなる
発熱が出た場合でも、基本的には24時間以内(長くても翌日中には)自然に解熱して治りますので、慌てずに様子を見てあげてください。
ただし、「熱が何日も下がらない」「ぐったりして全く水分がとれない」といったいつもと違う強い症状があれば、迷わずかかりつけの小児科を受診してください。
お熱が出た時の対応については以下の記事も参考にしてください。
「アナフィラキシー」について
万が一、接種後すぐに激しいアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こった場合も、医療機関内であればすぐに対処できるよう準備しています。
接種後15分〜30分は院内で様子を見るように言われるのはこのためです。
アナフィラキシーについては以下の記事で詳しく解説しています。
【重要】絶対に知っておいてほしい、2つの特別な注意点

予防接種の中でも、特に注意して観察していただきたい「ロタウイルスワクチン後の腸重積」と「BCGのコッホ現象」について解説します。
ロタウイルスワクチンと「腸重積(ちょうじゅうせき)」
ロタウイルスは、激しい下痢や嘔吐を引き起こし、赤ちゃんが脱水で入院してしまう原因になる怖いウイルスです。
このワクチンは「飲む生ワクチン」で、予防効果は非常に高いです。
しかし、ロタウイルスワクチンを飲んだ後、約1〜2週間程度の間は、「腸重積」という病気のリスクがごくわずかに上がることが知られています。
腸重積とは?
腸の一部が、隣の腸の中にスポッと入り込んで抜けなくなってしまう病気です。
放っておくと腸が腐ってしまい、命に関わる緊急事態になります。
見逃さないためのサイン
ワクチン接種後、1〜2週間以内に以下のサインが見られたら、時間外でもすぐに救急病院を受診してください。
- 突然、激しく泣き出す(20分程度おきに、泣いたりケロッとしたりを繰り返すのが特徴です)
- 何度も繰り返し吐く
- 血が混じったウンチ(イチゴジャムのようなウンチ)が出る
- 顔色が悪く、ぐったりしている
「リスクがあるなら打ちたくない。」と思うかもしれませんが、ワクチンを打たずに自然にロタウイルスに感染して重症化するリスクの方が、はるかに高いです。
腸重積のサインを知っておき、早期発見・早期治療ができるようにしておくことが大切です。
BCGワクチンと「コッホ現象」
BCGは、結核という病気を防ぐためのハンコ注射です。
通常、BCGを打った場所は、10日ごろから赤くなり、1〜2か月くらい経ってから赤く腫れてウミを持ち、徐々にかさぶたになって治っていきます。
コッホ現象とは?
もし、赤ちゃんが「すでに結核菌に感染していた場合」、BCGを打ってから数日以内(だいたい7日以内)という非常に早い段階で、注射の跡が強く赤く腫れたり、ウミを持ったりします。これを「コッホ現象」と呼びます。
パパ・ママへのアドバイス
BCGを打った翌日や2〜3日後に、針の跡が赤くポツポツと目立って腫れてきたら、「もしかして結核に感染しているかも?」というサインかもしれません。
この場合、決して自己判断せず、打った場所の写真をスマートフォンで撮影した上で、発見した翌日には接種した医療機関を受診してください。(ただの皮膚の反応で、結核ではないこともたくさんありますので、慌てすぎず、まずは医師に診てもらうことが大切です)
パニックにならない!スケジュール管理と今後の見通し

スケジュール管理で失敗しない一番のコツ
一番のコツは、「帰る前に、その場で次回の予約を取ること」です。
スタートは1ヶ月健診から
基本的に、1ヶ月健診の際に「2ヶ月からのワクチン」の案内があるはずです。
同じ病院で受けるなら、その場で予約をとってしまいましょう。
もし違う病院で受ける予定なら、早めに予約の電話をいれてください。
1ヶ月健診については以下の記事で詳しく解説しています。
ハガキが届いたらすぐ予約
MRワクチンの2回目などのタイミングで案内ハガキが届きます。
ハガキをもらったらすぐに病院の予約をとることをおすすめします。
定期ワクチンのスケジュール
細かいカレンダーを見ると混乱してしまうので、ここでは「大きな節目」だけをお伝えします。
生後2ヶ月〜半年ごろ
ワクチンのピーク!同時接種でどんどん進めます。
また、この時期には「3〜4ヶ月健診」もあります。
健診とワクチンを合わせて、予定を確認しておきましょう。
3〜4ヶ月健診で小児科医がチェックしているポイントはこちら!
1歳のお誕生日
MR(麻疹・風疹)、水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜなどがスタートします。
1歳のお誕生日プレゼントとして、早めに予約をとってあげましょう。
小学校入学前の「年長さん」
MRワクチンの2回目など、忘れがちですが非常に重要な追加接種のタイミングです。
便利なアプリを活用しよう!
細かいスケジュールの管理には、「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」が提供している「予防接種スケジューラー」などの無料アプリがとても便利です。
私たち小児科医もおすすめしていますので、ぜひ活用してみてくださいね。
https://www.know-vpd.jp/vc_scheduler_sp/index.htm
季節や状況に合わせて検討したいワクチン
定期接種のスケジュールには載っていませんが、大切なお子さんを守るために知っておいていただきたいワクチンもあります。
インフルエンザワクチン
毎年秋冬に流行するインフルエンザを防ぎます。
生後6ヶ月から接種可能なので、初めての冬を迎える前にかかりつけ医に相談してみましょう。
RSウイルスワクチン
小さい赤ちゃんの呼吸状態を悪化させる「RSウイルス」を防ぐための妊婦ワクチンが登場しています。
なんと、2026年4月から定期接種となり、無料で接種を受けることができるようになりました!
予防接種にまつわるQ&A(よくある質問と当日の準備)

最後に、小児科の外来でパパやママからよく聞かれる「当日の準備や過ごし方」についての疑問にお答えします。
Q. 病院に行くときの持ち物は?
A. 「母子手帳」と「予診票」を忘れずに!
予診票は、病院での待ち時間を減らすために、体温以外の部分はご自宅で書いてきてください。分からないところは空欄にしておいて、病院で確認すれば大丈夫です。
小児科医のアドバイス
診察券、保険証、乳幼児医療証、母子手帳など、小児科受診はとにかくカード類が多いです!
一つにまとめられる大容量の「母子手帳ケース」を準備しておくと、受付で慌てずに済むのでおすすめです。
Q. 当日、熱がある時はどうする?
A. 37.5度以上ある時は打てません。
病院で熱を測って「37.5度以上」ある場合は、安全のためにその日はワクチンを打つことができません。
それ以外の体調で心配なことがあれば接種する病院でご確認ください。
Q. 風邪で予約の日に打てず、遅れてしまったら?
A. 焦らなくて大丈夫。体調が治ってから日程を相談しましょう。
小さなお子さんにはよくあることなので、体調が落ち着いてから打ち直せば問題ありません。
ただし、定期接種の中には「〇歳〇ヶ月まで」という年齢制限があるものがあります。
期限を過ぎると自費になってしまうので、早めにかかりつけの医療機関を受診して日程を再相談してください。
Q. 直前にミルクや離乳食をあげてもいい?
A. 予防接種の直前は避けましょう。
いつも通りで大丈夫ですが、「直前」に飲ませたり食べさせたりするのは避けましょう。
注射で大泣きした拍子に、吐いてしまうリスクがあります。
Q. 打った日はお風呂に入ってもいいの?
A. 接種後1時間以上経っていればOKです。
いつも通りお風呂に入って問題ありません。
ただし、注射した部位をゴシゴシと強く擦らないように優しく洗ってあげてください。
Q. 川崎病にかかった後でもワクチンは打てる?
A. 治療内容によって、半年間遅らせる必要があります。
「川崎病」にかかってガンマグロブリンという治療を受けたお子さんは、水痘やMRなどの「注射の生ワクチン」の接種を半年間ほど遅らせる必要があります。
該当する方は必ず主治医の指示に従ってください。
詳しくは以下の記事を参照してください。
まとめ

ワクチンはメリットが圧倒的
副反応のリスクよりも、命に関わる病気を防ぐメリットの方がはるかに大きいです。
同時接種は安全
早く確実にお子さんを守るための世界標準の方法です。
副反応の発熱は焦らずに
基本的に24時間以内に自然に治まります。
特別な注意点を知っておく
ロタワクチン後の腸重積サインや、BCG後のコッホ現象のサインを知っておけば安心です。
間隔や管理はプロとアプリにお任せ
細かいスケジュールはアプリを活用し、病院で次回の予約を取るのが一番のコツです。
あとがき
スケジュール管理は本当に大変ですし、小さな赤ちゃんが泣く姿を見るのはパパもママも辛いですよね。
でも、予防接種はパパとママからお子さんへ贈る「健康と命を守る、最高のプレゼント」です。
分からないことや不安なことがあれば、いつでもかかりつけの小児科医に相談してください。私たちも、お子さんが元気に大きく育つよう、全力でサポートします!
予防接種の日は、ご飯作りを休んで「宅食」に頼りましょう!
予防接種を受けた日は、赤ちゃんがいつもより不機嫌になったり、お熱が出たりして、パパもママも看病でクタクタになりがちです。
「今日はよく頑張った!」と親子で労うためにも、予防接種の日は事前に「宅食」や「ミールキット」を用意して、思いっきり手抜きをするのがおすすめです!
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
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