【小児科医パパ】熱が下がらない!BCGが赤い?川崎病のサインと看病のコツ
夜中に子どもの熱が全然下がらない…。
解熱剤を使ってもすぐ熱が上がり、機嫌が悪くてずっと泣きやまない。
「ただの風邪じゃないのかも…」と不安でいっぱいになり、スマホを握りしめて検索しているパパやママ。 看病、本当にお疲れ様です。
こんにちは、小児科医の『つき先生』です。
お子さんの体が赤くなったり、目が充血したりしているのを見て、「もしかして川崎病?」とパニックになっていませんか?
でも、まずは深呼吸してください。 川崎病は、小児科では毎年たくさんのお子さんが治療を受けて元気に帰っていく、とても「身近な病気」です。
この記事では、現役の小児科医であり父親でもある私が、難しい専門用語は一切なしで、パパママが今すぐ知りたい「川崎病のサイン」と「お家での対処法」を分かりやすく解説します。
読めば必ず安心できるはずです。お子さんの様子を見ながら、ゆっくり読んでみてくださいね。
この記事を3部作に再編集した解説記事は以下でご確認ください!
- 【パパママ向け】高熱と発疹は川崎病?小児科医が教える「6つのサイン」と受診の目安
- 【パパママ向け】川崎病で入院と言われたら?小児科医が解説する「免疫グロブリン治療」と心臓エコー
- 【パパママ向け】川崎病の退院後「3つの約束」。運動制限や予防接種の延期について小児科医が解説
- 川崎病かも?と疑うポイント:熱が5日以上下がらない+「体が赤い」「BCGが腫れる」など。
- 焦らなくてOK:熱が出た初日からすべての症状が揃うわけではありません。
- 受診の目安:熱が長引き「目やにのない目の充血」「いちご舌」などがあれば小児科へ。
- 一番大切なこと:早く治療をして、心臓の血管のコブ(冠動脈瘤)を防ぐこと。
- 治療の基本:入院して、点滴(免疫グロブリン)と飲み薬(アスピリン)を使います。
熱が下がらない…何日目?川崎病を疑う「6つのサイン」
風邪だと思っていたのに、何日も熱が下がらないと本当に心配になりますよね。
私たち小児科医が川崎病を疑うとき、チェックする「6つの主要症状」があります。 難
しく考えず、「熱+体が全体的に赤くなる病気」と覚えておいてください。
以下の症状がないか、お子さんの体を優しくチェックしてみましょう。
「目が赤い」「BCGの跡が腫れる」「舌がブツブツ」「手足がパンパン」は要注意
- 高熱が続く(通常5日以上)
ただの風邪とは違い、38度以上の熱がダラダラと長く続きます。 - 目が赤くなる(両目の充血)
プール熱などと違い、「目やにが出ないのに目が赤い」のが大きな特徴です。 - 発疹が出る(体に赤いブツブツ)
全身に赤い斑点が出ます。特に「BCG注射の跡が赤く腫れる」のは川崎病の超重要サインです。 - 唇や舌が赤くなる
唇が真っ赤に腫れたり、舌がイチゴのようにブツブツ(いちご舌)になったりします。 - 手足の指先が赤く腫れる
手のひらや足の裏が、赤くパンパンに張ることがあります。 - 首のリンパ節が腫れる
首のグリグリが腫れて、触ると痛がって泣く(機嫌が悪い)ことがあります。
上記の症状のうち「5つ以上」当てはまると川崎病と診断されます。(4つ以下でも川崎病と診断される「不全型」もあります)
もっと具体的な診断基準については、「川崎病診断の手引き 改訂第6版」を参照してください。
つき先生のパパ目線メモ
「うちの子、症状が3つしかないから違うかな?」と思うかもしれません。でも、熱が出た初日から全部の症状が揃うことは稀なんです。
「熱が何日も下がらないな」「体が赤くなってきたな」と思ったら、スマホで写真を撮っておくのが裏技!
小児科を受診したとき、先生に見せると診断の大きな助けになりますよ。
川崎病ってどんな病気?一番怖い「心臓のコブ」とは
川崎病と診断されると、「聞いたこともない病気で怖い」と感じる方がほとんどです。
でも実は、日本では「70人に1人の子ども」がかかる、とても身近な病気なんです。 主に4歳以下のアジア人の子どもに多く見られます。
川崎病は、全身の血管に「炎症(ボヤ騒ぎ)」が起きる病気です。
最優先の目標は「冠動脈瘤(心臓のコブ)」を防ぐこと
一番気をつけたいのが、心臓に栄養を送る大切な血管(冠動脈)にボヤ騒ぎが広がり、コブ(冠動脈瘤)ができてしまうことです。
コブができると、将来、狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気のリスクが高まってしまいます。 何も治療をしないと、4人に1人の割合でこのコブができると言われています。
だからこそ、「早く見つけて、早く火消し(治療)をすること」が何よりも大切なのです。
つき先生のパパ目線メモ
診察室で、「心臓の血管にコブができるかもしれません」「将来の心筋梗塞のリスクになります」とお話しすると、当然ですが、ほとんどの親御さんがひどく不安な表情をされます。
でも、過度に怯えすぎないでください。
実は、この心臓の合併症(冠動脈瘤)は、「高熱が10日以上続く」とできやすくなることが分かっています。
裏を返せば、熱が10日以上長引いてしまう前に早期に病気を見つけ、しっかりと治療を行って熱を下げれば、ほとんどのケースで後遺症を残さずしっかり治すことができるのです。
「もしかして…」と思ったら?病院へ行く目安と夜間の対処法
「熱が下がらない」「機嫌が悪くて夜泣きがひどい」という状態が続くと、パパママの体力も限界に近づきますよね。
川崎病と似た症状が出る病気(溶連菌感染症やアデノウイルス、麻疹など)もあるので、外来では検査をしながら慎重に見極めます。
熱が長引き、先ほどの「6つのサイン」がいくつか当てはまる場合は、迷わず翌朝かかりつけの小児科を受診してください。
高熱でけいれん(ひきつけ)が起きたら
高熱が続くため、「熱性けいれん」を起こすこともあります。
白目をむいてガクガク震え出したらパニックになりますが、まずは「安全な場所に寝かせて、顔を横に向ける」こと。 5分以上続く場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
入院と言われたら?「免疫グロブリン治療」と毎日の検査のワケ
川崎病と診断されると、基本的には入院になります。
「えっ、入院!?」と驚くかもしれませんが、安全に、確実に治すためのベストな選択です。
順調に回復すれば、1週間ほどで退院できることもあります。
免疫グロブリン療法
現在、川崎病の治療で世界的に最も標準とされているのが「免疫グロブリン療法」です。
強い炎症を速やかに抑え込み、冠動脈瘤ができるのを防ぐ高い効果があります。
細菌やウイルスからからだを守ってくれる「抗体(免疫の成分)」を集めたお薬で、1〜2日間かけて、ゆっくりと点滴で投与します。
80%以上のお子さんが、この最初の治療で熱が下がり改善します(もし熱が下がらない場合は、再投与などの追加治療を行います)。
まれにアレルギー反応や一時的な発熱、嘔気などが起こることがあります。
しかし、入院中は心電図やモニターでしっかり全身状態を管理しながら行うため、安全に治療を受けることができます。
アスピリン(飲み薬)
「アスピリン(バファリンなどにも含まれる成分)」は、炎症を抑える働きに加えて、「血液をサラサラにして血のかたまり(血栓)を予防する働き」があります。
心臓の血管に後遺症が残らないようにするための、非常に重要なお薬です。
アスピリン内服中の感染症
退院後、アスピリンを飲んでいる期間中に「インフルエンザ」や「水疱瘡(みずぼうそう)」にかかると、「ライ症候群」と呼ばれる重篤な急性脳症を引き起こす危険性があります。
アスピリン内服中にインフルエンザなどが疑われる熱が出た場合は、決して自己判断で市販の風邪薬や解熱剤を使わず、必ず主治医に相談してください。
その他の治療
川崎病の治療は、以下の学会ガイドラインに沿って安全に進められます。
免疫グロブリン療法で熱が下がりきらなかった場合の追加治療など、さらに詳しい情報についてはこちらをご参照ください。
日本小児循環器学会 川崎病急性期治療のガイドライン(2020年改訂版)
「何度も痛い検査をして可哀想…」と思うパパママへ
入院中、お子さんは何度も採血されたり、じっと心臓のエコー検査を受けたりします。 泣き叫ぶ我が子を見るのは、親として本当に胸が締め付けられますよね。
でも、このこまめな検査が「命綱」なんです。 「点滴が効いているか」「心臓の血管にコブができていないか」を、私たち小児科医がリアルタイムで厳重に監視しています。
お子さんには数日間、検査を頑張ってもらうことになりますが、将来の心臓の後遺症を絶対に残さないための大切なプロセスです。
退院後の生活「3つの約束」
無事に熱が下がり、退院のめどが立つとご家族も本当にホッとされると思います。
しかし、川崎病の治療は「退院したら終わり」ではありません。
お子さんの大切な心臓を生涯守り抜くために、退院後も以下の3つの約束を守っていただく必要があります。
アスピリンは自己判断でやめない
退院後も「冠動脈瘤の予防」のために、アスピリンの飲み薬が続きます。
発症から2〜3か月間は毎日しっかり内服を続けます。
その後の外来での心臓エコーで「冠動脈に異常がない」と確認できて初めて、お薬を終了することができます。
小児科医パパが勧める「毎日のお薬」お助けアイテム
小さな子どもに、2〜3ヶ月もの間、毎日欠かさずお薬を飲ませるのは本当に大変です。
そんな「お薬タイムの格闘」を終わらせてくれる、我が家の最強アイテムがこちらです。
アスピリンのような粉薬も、このゼリーに包むだけでツルンと飲んでくれる魔法のようなアイテムです。
運動制限と「5年間」の定期検診
- 運動について
心臓の血管(冠動脈)に後遺症が残らなければ、体育や外遊びなど、普段通りの生活や運動が可能です。 - 定期検診について
後からコブができていないかを念には念を入れて確認するため、発症から「5年間」は定期的に外来で心臓超音波検査を受けていくことが大切です。
皮下注射の生ワクチンは「6ヶ月間」お休み
入院中の治療で「免疫グロブリン点滴」を使用した場合、その抗体の影響で、一部の予防接種(皮下注射の生ワクチン:MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなど)の効果が弱くなってしまいます。
そのため、皮下注射の生ワクチンの接種は「退院から6か月間」は控える必要があります。
予防接種のスケジュールが大きくずれることになるため、どのタイミングでどのワクチンを打つべきか、必ず主治医(かかりつけの小児科)と相談して一緒に計画を立て直しましょう。
ワクチンについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ(Take Home Message)
川崎病は聞き慣れなくて、一見怖い病気のように感じますが、確立された治療があり、早期に発見することでしっかり後遺症なく、治せる病気です。
川崎病は「早期診断・早期治療」が何より重要な病気です。疑う症状があれば、すぐに小児科へ! 入院のうえ、点滴(免疫グロブリン)と飲み薬(アスピリン)で治療します。 ほとんどの子どもが後遺症なく回復できますが、心臓の血管のコブ(冠動脈瘤)には注意と定期検診が必要です。 退院後の生ワクチンのスケジュールは大きく変わるため、必ず医療機関で相談しましょう。
あとがき
「原因不明の病気」「心臓の後遺症」と聞くと、ご不安でいっぱいになってしまうと思います。
しかし、現在はしっかりとした治療法が確立されている病気です。
お子さんの「いつもと違うサイン」に一番早く気づけるのは、他でもない親御さんです。
熱が長引く、体が赤くなってきたなど、少しでも不安なことがあれば、いつでも私たち小児科医を頼ってください。
・川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン(2020年改訂版)
・日本小児循環器学会 川崎病急性期治療のガイドライン(2020年改訂版)
・岡本 充宏.小児科ですぐに戦えるホコとタテ. 診断と治療社, 2022年
・McCrindle BW, et al. Diagnosis, Treatment, and Long-Term Management of Kawasaki Disease. Circulation. 2017.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28356445/
・Fukazawa R, et al. JCS/JSCS 2020 Guideline on Cardiovascular Sequelae in Kawasaki Disease. Circ J. 2020.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33028751/
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
当サイトは医学的情報の提供を目的としており、特定の診療を保証するものではありません。詳細は免責事項をご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログでは「こどもの病気や健康」に関する正しい情報を小児科医の視点からお届けしています。
他の記事もぜひチェックして、日々の子育てにお役立てください。


