こんにちは、現役小児科医の『こどもドクター』です(医師4年目、小児科専攻医)。

目の前でわが子が突然白目をむいて、ガクガクと震え出す、それが「熱性けいれん」です。
どんなに冷静なパパやママでも、頭が真っ白になってしまうはずです。救急外来には、毎日たくさんの方が震える手でお子さんを抱えて駆け込んでこられます。

小児科医としてまずお伝えしたいのは、「熱性けいれんのほとんどは、数分で止まり、脳に後遺症を残すことはない」ということです。

いざという時、お子さんの命を守るために『これだけはやってほしいこと』を、現場の小児科医のリアルな視点でわかりやすく解説します。

免責事項

本記事は、一般的な医療情報を提供することを目的としており、診断や治療を行うものではありません。
お子さまの症状や体調について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けてください。

【1分でわかる】 熱性けいれんのまとめ

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、発熱に伴って突然起こるけいれんで、多くは5分以内に止まり、後遺症の心配はありません

★小児科医の視点

 私たち医師が一番注意深く診るのは「脳症との見極め」ですが、ご家庭では「5分以内に止まるか」「けいれん後に意識が戻るか」の2点を特に注意して見ていただければ大丈夫です。

発作が起きたときの対応

・安全な場所で「横向きに」

吐物での窒息を防ぐため体を横に向けます。周囲の危ない物を取り除きましょう。

・揺すらず、何も口に入れない

激しく揺すったり、口に指を入れるのは大変危険です。静かに見守ります。

・スマホで「動画撮影」を開始

時間は正確に測れなくて当然。「動画を回す」だけで、発作の開始時間も様子もすべて記録できます。

・迷ったら「119番」へ

救急要請の目安を参考に。判断に迷うときは遠慮せず連絡しましょう。

★小児科医の視点 

パニックで様子を思い出せないのは当たり前です。でも「スマホの動画」が1つあれば、私たちはすぐに正確な診断ができ、お子さんの負担になる不要な検査を減らすことができます。

迷わず救急要請(119)の目安

  • けいれんが5分以上続く
  • 短い間にけいれんを繰り返す
  • 意識の戻りが遅い
  • 判断に迷うとき・怖くてたまらないとき

★小児科医の視点

わが子がけいれんしている時の5分間は、親御さんにとっては永遠のように長く、恐ろしい時間です。「救急車を呼ぶか迷った」という事実は、立派な救急要請のサインです。 救急車の中で止まったとしても、それは決して「無駄」ではありません。

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、子どもに38度以上の発熱がある時に起きる発作です。

熱性けいれんの特徴

  • 生後6か月から5歳の子どもに多い
  • ウイルス感染や予防接種、川崎病による38度以上の発熱に伴い発症
  • 子どものけいれんでは最多 (約10人に1人が経験)
  • 家族歴 (親や兄弟の経験)があると発症しやすくなる

★小児科医の視点

インフルエンザなどの流行期には、救急外来や病棟は熱性けいれんで受診するお子さんで溢れかえるほどです。決して「珍しい、怖い病気」ではありません。周りのママ友やパパ友に聞けば「実はうちの子も…」という経験者が必ず見つかるはずです。一人で抱え込まず、まずは「よくあることなんだ」と知るだけで、少し心が軽くなるかもしれません。

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熱性けいれんの症状

  • 多くは発熱の初期 (上がり際)に起こる
  • 目を開けたままで呼びかけに反応しな
  • 顔色が悪くな、嘔吐、失禁、口から泡を吹く
  • ほとんどは5分以内に自然にとまる
  • 発作後、ぼんやりした状態から徐々に意識が回復する。

★小児科医の視点

診察室では「さっきまで元気だったのに、けいれんして初めて熱に気づいた」という声を本当によく聞きます。気づけなかったのは、親御さんのせいではありません。それが熱性けいれんという病気の性質なのです。

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熱性けいれんと脳症の違い

「ただの熱性けいれんかな? それとも怖い脳症かな?」 これは、私たち小児科医がベッドサイドで最も神経を研ぎ澄ませて見極めるポイントです。

脳症」とは、インフルエンザなどのウイルス感染をきっかけに、脳に急速な炎症やむくみが起きる病気です。意識障害が続いたり、後遺症や命に関わったりすることもある、非常に重い病態です。

★小児科医の視点

私たちが診察室で一番注視しているのは、「けいれんが止まった後の様子」です。

  • 熱性けいれんの場合: 数分後には目が合い、泣き声をあげ、いつもの表情に戻ります。
  • 脳症を疑う場合: けいれんが止まった後も視線が合わない、意識がはっきりしない状態が続く。

私たちが診察室で「お母さんと目が合いますか?」「いつも通りの反応ですか?」としつこく聞くのは、毎日お子さんを見ている親御さんの「なんだかいつもと違う」という直感が1番大切だからです。

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熱性けいれんが起きた時の正しい対応・救急車の目安・予防薬(ダイアップ)について

けいれんが起きた時の「正しい対応」と「NG行動」

けいれんが起きたときは驚くと思いますが、落ち着いて、以下の対応をしましょう。

安全な場所に横向きに寝かせます

吐いたもので窒息しないよう、体を横に向けます。

【絶対NG】口の中に指や物を入れない

無理に口の中のものを取ろうとすると、親御さんが指を強く噛まれて大怪我をしたり、かえって奥に押し込んでしまう危険があります。横を向かせるだけで十分です。

衣服をゆるめる

首元や胸元など、圧迫感のある衣服をゆるめ、呼吸をしやすくします。

スマホで「動画」を撮りながら時間を測る

パニックの中で様子を記憶するのは非常に難しいです。スマホの動画を回すだけで、正確な時間とけいれんの様子が記録でき、後の診断で最大の武器になります。

けいれん後は「意識の回復」を確認する

けいれんが止まった後、眠っている場合は軽く肩を叩くなどして、反応(目を覚ますか、泣くか、目線は合うか、話せるか、など)を確認します。脳症などの怖い病気を見極めるための、非常に大切なチェックポイントです。

救急車を呼ぶ目安と入院になるケース

以下のサインがある場合は、ためらわずに「119番」で救急車を呼んでください。
これらは「ただの熱性けいれん」ではなく、脳症などの可能性を除外するために、そのまま「入院(経過観察や検査)」となることが多い基準でもあります。

  • けいれんが「5分以上」続く
  • 短い間にけいれんを「繰り返す」
  • けいれん後、なかなか「意識が回復しない」

★小児科医の視点:「なんで入院なの?」と不安に思う方へ

救急外来で「念のため入院しましょう」とお伝えすると、ショックを受けられる親御さんも多いです。しかし、この入院は「重病だから」というより、「安全な病院のベッドで、私たちが解熱するまでしっかり様子を見るため」の入院であることがほとんどです。熱や意識状態を観察しながら、万が一またけいれんが起きてもすぐに対応できる環境を整えるためのものだとお考えください。

初めてのけいれんの時などは、保護者の方はとても不安になるので、実際は相談しながら入院か外来か決めることもあります!

再発を防ぐお守り「ダイアップ」

熱性けいれんを経験すると、「また熱が出たらどうしよう…」と夜も眠れなくなる親御さんがたくさんいらっしゃいます。そんな時の強い味方が、けいれんを予防する「ダイアップ坐剤」です。

ダイアップの正しい使い方

熱の上がり始め(37.5℃〜38.0℃)に、以下のタイミングで肛門から入れます。

  • 1回目: 熱の上がり始めにすぐ入れる
  • 2回目: 1回目から「8時間」あけて使用する

この「2回投与」によって、そこから24〜48時間程度、けいれんを予防する効果が続きます。

使うときに絶対に知っておいてほしい「2つの注意点」

  1. 解熱剤の坐薬(アンヒバ等)を使う場合は「30分」あける 
    熱さましの坐薬も一緒に使いたい場合は、必ずダイアップを先に入れ、30分以上あけてから解熱剤を入れてください。同時に入れたり順番を逆にしたりすると、お薬の吸収が悪くなって十分な効果が出ません。
  2. けいれんを「100%」防げるわけではない
    お守りとはいえ、残念ながら完全に防げるわけではありません。

★小児科医の視点:なぜ「全員」には処方されないの?

「念のためダイアップをください」と希望される方は多いですが、実は全員に処方するわけではありません。それには3つの理由があります。

  1. 診断が難しくなるため: 副作用に「眠気」があり、「薬のせいで眠っているのか、脳症などの怖い病気で意識が悪いのか」の見極めが非常に難しくなってしまいます。
  2. 転倒の危険があるため: 副作用の「ふらつき」により、熱があるのにお家の中で転んでケガをしてしまうリスクがあります。
  3. 親御さんの負担が大きいため: 今後、発熱のたびに「いつ37.5℃を超えるか」と常に体温計を気にしながら挿入のタイミングを計ることは、ご家族にとって精神的にも大きな負担になります。

そのため、「けいれんが15分以上続いた」「短い期間に何度も繰り返す」といった、本当に予防が必要な条件を満たしたお子さんにのみ処方しています。 処方されなかった場合は、「この子はダイアップを使わなくても大丈夫な、典型的な熱性けいれんだったんだ」と安心してくださいね。

後遺症・再発と予防接種

熱性けいれんで「後遺症」は残るの?再発率は?

一番心配されるのは「脳にダメージがないか」「知的な遅れが出ないか」ということだと思いますが、突然死や脳障害、知的発達への影響は基本的にありません。 どうか安心してください。

また、再発率は約30〜40%です。これは裏を返せば、「60〜70%のお子さんは、一生に一度しか経験しない」ということです。

★小児科医の視点 

医学的に、熱性けいれんは「5分以上続くと、そこから先は自然に止まりにくくなる」という特徴があります。

私たちが「5分経ったら救急車を」とお願いしているのは、そのまま自然に止まるのを待つのではなく、「病院のお薬を使って、安全かつ確実に止めてあげる必要があるサイン」だからです。

また、ご家族が一番心配される「脳へのダメージ」ですが、これはけいれんが30分以上という極めて長い時間続かない限り、基本的に心配はいりません。「5分けいれんしたから脳が傷ついてしまった!」というわけではないので、落ち着いて救急要請をして医師に任せてください。

けいれん後の「予防接種」はいつから打てる?

熱性けいれんを起こした後でも、お子さんの体調がしっかり回復していれば、すべての予防接種を受けることができます。(以前は長期間あけるルールがありましたが、今は変わっています)

もし主治医の判断で接種を延期する場合でも、2〜3か月以内には受けることが推奨されています。自己判断でキャンセルせず、まずはかかりつけの小児科医に相談してみましょう。

★小児科医の視点

「ワクチンを打つと熱が出やすいから、またけいれんするのでは?」と、接種をためらってしまうかもしれません。 しかし、予防接種を打たずに「重篤な感染症」にかかってしまう方が、はるかに高熱が長引き、けいれんや重症化のリスクが高くなります。お子さんを怖い病気から守るためにも、体調が戻ったらぜひ予定通りワクチンを打ってあげてください。

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まとめ

Take Home Message

 熱性けいれんは「よくある病気」です 
子どもの発熱の上がり際に突然起こりますが、ほとんどが数分で自然に止まり、脳へのダメージも残りません。

 発作時は「何もしない」が正解です
口に指を入れたり揺すったりせず、安全な場所で横向きに寝かせましょう。スマホで「動画」を回すだけで、最高の対応ができています。

 「5分」または「迷った時」はすぐ119番を
5分以上続く場合や、止まった後に「意識が戻らない」「なんだかおかしい」と直感で迷った時は、ためらわずに救急車を呼んでください。

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あとがき

熱性けいれんは、何度経験しても本当に心臓が止まるほど怖いものです。 「あの時もっと早く熱に気づいてあげていれば…」と、救急外来でご自身を責めて泣いてしまう親御さんを、私は何人も見てきました。

でも、 けいれんは誰のせいでもなく、子どもの脳が成長している過程で起こる、いわば「一時的なエラー」のようなものです。基本的に深刻な後遺症は残りません。

この記事でお伝えしたかったのは、「皆さんは決して一人ではない」ということです。 いざという時は、どうか一人で抱え込まず、夜中であっても私たち小児科医を頼ってください。そのためにお伝えした「救急車を呼ぶ目安」や「スマホの動画」です。

また、パパやママだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんなど、ご家族全員でこの正しい知識を共有しておくことで、万が一の事態にも、みんなで落ち着いてお子さんを守ることができます。

もし、けいれんの後で不安や疑問が残っている場合は、いつでもかかりつけの小児科でご相談ください。お子さんの健やかな成長を、診察室からいつも応援しています。

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受診の目安

本記事は一般的な医療情報を解説するものです。

次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く

上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。

免責事項

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子育て中の保護者の方へ

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