【小児科医が解説】溶連菌を何度も繰り返す理由とは?感染対策と保菌者について
こんにちは、現役小児科医の『つき先生』です(医師5年目、小児科専攻医)。
小児科の外来で、溶連菌の検査が「陽性」と出た時、パパやママから一番よく聞く悲鳴があります。
それは、「えっ!?先月もなったのに、また溶連菌ですか!?」という声です。
さらに「下の子には絶対にうつしたくない!」という強い不安もあると思います。
「うちの子、免疫がないのかな?」「もしかしてずっと菌が潜んでる?」と心配になる親御さんのために、今日は「溶連菌を何度も繰り返す理由」と、「兄弟・家族へのうつし方(防ぎ方)」、そして知っておきたい「保菌者(キャリア)」の真実について、詳しく解説していきます!
なぜ、うちの子は「何度も」溶連菌にかかるの?

おたふく風邪や水疱瘡(みずぼうそう)は一度かかれば免疫ができて二度とかかりませんが、なぜ溶連菌は1年に何度もかかってしまうのでしょうか?
それには、大きく2つの理由があります。
溶連菌には「たくさんの種類(型)」があるから
実は「A群溶血性レンサ球菌(一般的な溶連菌)」と一口に言っても、細かく分けると数十種類以上もの「型」が存在します。
一度溶連菌にかかって「Aという型」に対する免疫ができても、次に「Bという型」の溶連菌がやってきたら、また感染して熱を出してしまいます。
これが、何度も繰り返してしまう最大の理由です。
お薬を途中でやめてしまい、菌が残っていたから
処方された抗生物質を「熱が下がったから」と途中でやめてしまうと、のどの奥に菌が生き残ってしまいます。
その生き残った菌が、お子さんの疲れやストレスが溜まったタイミングで再び増殖し、「ぶり返し」として何度も発症してしまうケースもよく見られます。
だからこそ、お薬は必ず「10日間」飲み切ることが大切です!
お薬を嫌がる場合の「魔法の飲ませ方」は、以下の記事で解説しています。
元気なのに菌がいる?「保菌者(キャリア)」の真実

「クラスで溶連菌が流行っているから、元気だけど念のためうちの子も検査してください!」
外来でよくあるご要望ですが、私たち小児科医は「熱やのどの痛みなどの『症状』がなければ、検査はしませんし、お薬も出しません」とお答えしています。
なぜなら、健康な子どもたちの約10〜20%は、のどに溶連菌がいても悪さをしない「保菌者(ほきんしゃ=キャリア)」だからです。
保菌者は「治療」の必要がありません
保菌者のお子さんは、溶連菌と「仲良く共存」している状態です。
のどに炎症(痛み)も起こしませんし、周りのお友達や兄弟にうつす感染力も非常に弱いことが分かっています。
そのため、無症状の保菌者を見つけて抗生物質を長期間飲ませることは、お子さんの体にとってメリットがなく、基本的には治療の対象にはなりません。
一方で、しっかり熱が出てのどを痛がっているのであれば、それは保菌ではなく、その都度「新しい型の溶連菌をもらってきている(しっかり感染している)」と考えられます。
兄弟・家族にうつさないための「本気の」家庭内対策

溶連菌は、咳やくしゃみを介した「飛沫感染」と、おもちゃやタオルを介した「接触感染」で兄弟にうつります。
家庭内でできる最大限の防衛策をお伝えします。
勝負は「お薬を飲み始めてからの24時間」!
溶連菌の感染力は非常に強いですが、「適切な抗生物質を飲み始めてから24時間が経過すると、周りにうつす感染力はほとんどなくなる」という特徴があります。
つまり、家庭内隔離を本気で頑張らなければいけないのは「最初の1〜2日間(お薬が効くまで)」です!
この期間は以下のことを徹底してください。
- タオルやコップ、スプーンの共有は「絶対NG」!
兄弟で同じタオルで手を拭いたり、飲み回しをしたりするのは一番危険です。この期間だけは、使い捨てのペーパータオルにするのもおすすめです。 - 食べ残しを食べない!
のどが痛くて残したごはんを、もったいないからとパパやママが食べてしまうと、高確率で感染します。 - 歯ブラシを分ける(治ったら新しいものに交換を)
感染している間は、歯ブラシ同士がくっつかないように保管してください。そして、溶連菌が完全に治ったら、念のため古い歯ブラシは捨てて新しいものに交換することをおすすめします。
【要注意】大人が感染すると非常に辛いです!
「こどもの病気でしょ?」と油断していると、大人のパパママにもうつります。
しかも、大人が溶連菌にかかると「つばを飲み込むのも涙が出るほど痛い」「高熱で全く動けない」など、こども以上に重症化して苦しむことがよくあります。
看病の後は必ず石鹸で手を洗い、パパママ自身ものどに違和感が出たら、すぐに内科を受診してください。
まとめ(Take Home Message)

溶連菌には色々な型があるため、1年に何度も繰り返すのはよくあること!
お薬の飲み残しが「ぶり返し(繰り返し)」の原因になることも。
元気なのに菌がいる「保菌者」は、周りにうつす力も弱く、治療の必要なし!
家庭内感染の勝負は「お薬を飲み始めてからの24時間」。
最初の1〜2日間は、タオルやコップの共有を絶対にやめよう!
「そもそも溶連菌ってどんな病気?」「風邪と何が違うの?」など、溶連菌の症状や登園の目安については、こちらの親記事で詳しく解説しています。
小児科医おすすめのケアアイテム
「下の子にうつしたくない!」「大人が倒れたら終わる!」というご家庭のために、小児科医目線で「本当に役に立つ感染対策アイテム」を厳選しました。我が家でもストックしています!
洗面所のタオル共有を防ぐ!「ペーパータオル」
手洗いの後のタオル共有は、家庭内感染の最大の原因になります。溶連菌や胃腸炎など「絶対にうつりたくない病気」の期間だけは、洗面所をペーパータオルに変えてしまうのが一番安全で、洗濯の手間も省けます。
パパママを守る!「手指消毒用アルコール」
こどもの食べ残しを片付けたり、よだれがついたおもちゃを触ったりした後は、石鹸での手洗いに加えてアルコール消毒も有効です。
ポンプ式のものをリビングに置いておき、看病のたびにサッと消毒してパパママ自身を守りましょう。
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログでは「こどもの病気や健康」に関する正しい情報を小児科医の視点からお届けしています。
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