こどもの発熱とは?受診の目安・危険サイン・家庭でできるケアを小児科医が解説
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
※上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
この記事では、発熱のときに受診の目安、危険サイン、解熱剤の使い方、家庭でできるケアについて解説します。
「熱の高さ」よりも大切なポイントがあるので、ぜひ最後までご覧ください。
発熱だけでは慌てなくて大丈夫
多くの発熱はウイルス感染で、数日で自然に治ることがほとんどです。
元気があり、水分がとれていれば様子を見ても大丈夫です。
夜中チェックリスト
こどもの様子
- 呼びかけに反応する
- 視線が合う
- ぐったりしてない
呼吸
- 息が苦しそうではない
- 肩やお腹を大きく使ってない
- 唇や顔色が悪くない
水分と尿
- 水やミルクを少しでも飲めている
- 6〜8時間以内に尿がでている
症状
- 痙攣がない
- 激しい頭痛や首の痛みがない
- 強い腹痛や持続する嘔吐がない
年齢
- 生後3か月以上
すぐ受診・救急車の目安
- 意識がぼんやり、ぐったりしている
- けいれんが5分以上続く
- 呼吸が苦しそう・顔色が悪い
- 水分がとれず、尿が出ない
- 生後3か月未満の発熱
⇨ 迷わず救急受診してください。
早めに小児科受診した方がよいサイン
- 39℃以上が続く
- 発熱が3日以上続く
- 強いのど痛み・耳痛み・腹痛
- 発疹、嘔吐、下痢がひどい
家でできる対応
- 水分を少量ずつこまめに
- 食欲がなければ無理に食べさせない
- 眠れていれば起こさない
- 解熱剤はつらそうなときに使用
よくある質問
Q:何度から病院?
⇨ 熱の高さより、ぐったり・水分不足などの様子で判断します。
Q:解熱剤は使っていい?
⇨ つらそうならOK。病気を悪化させることはありません。
こどもの発熱とは?

こどもの発熱は小児救急を受診する理由としてとても多く、全小児救急患者の約20%を占めると言われています。
ほとんどは命に関わらない発熱ですが、まれに髄膜炎や敗血症など早めの対応が必要な病気が隠れていることもあります。
実際の診療でも、多くの発熱は数日で自然に治ります。
発熱とは?何度から「熱」なの?
一般的に次のように扱われます。
- 37.5〜38.0℃未満:微熱
- 38.0℃以上:高熱
ただし、同じ体温でもこどもの普段の平熱は個人差があります。
そのため、発熱を考えるときは、普段の平熱との差も重要です。
特に乳児早期は平熱が高めで、外気温や衣類など環境の影響も受けやすいです。
新生児は「うつ熱」の可能性も
新生児は環境温の影響を強く受けます。
服を着せすぎたり、室温が高かったりすると、体温が上がることがあります。
次のように対応してみてください。
- いったん薄着にする
- 室温を調整する
- 15〜30分後に再測定する
これで体温が正常化する場合は、うつ熱と考えてよいでしょう。
発熱の原因:感染性と非感染性

発熱は大きく2つに分類されます。
- 感染性の発熱(ウイルス・細菌など)
- 非感染性の発熱(川崎病、熱中症、ワクチン後の発熱など)
急性発熱の多くは感染性ですが、重要なのは「原因を言い当てること」よりも、危険な状態を見逃さないことです。
どの原因であっても、危険サインがあれば早めの受診が必要です。
ワクチンによる発熱は24時間以内に下がります。24時間を超えると他の病気の可能性が高くなりますので、病院に受診しましょう。
発熱時の危険サイン

体温より大事なのは「全身状態」
発熱の評価でいちばん大切なのは、体温の高さより全身状態です。
- いつもより極端に不機嫌
- ぐったりしている
- 反応が鈍い
- 視線が合わない
これらは髄膜炎や敗血症など重症感染症の症状である可能性があり、注意が必要です。
40度を超える発熱であっても、重症感染症ではない時があります。全身状態が何より大切です。
敗血症(はいけつしょう)とは?
細菌が血液の中に入り、全身に広がってしまう状態です。
体のあちこちの臓器がうまく働かなくなり、急にぐったりしたり、顔色が悪くなったり、呼吸が苦しくなることがあります。
進行が早いことがあり、早めの治療がとても大切な病気です。
髄膜炎(ずいまくえん)とは?
脳や脊髄を包んでいる膜に炎症が起こる病気です。
高い熱に加えて、強い不機嫌、ぐったりする、繰り返す嘔吐、けいれんなどがみられることがあります。
乳児では典型的な症状が出にくいため、「いつもと明らかに違う様子」があれば受診が必要です。
すぐ受診を考える危険サイン
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 5分以上続くけいれん
- 持続する嘔吐
- 四肢が冷たい/顔色が悪い
- 抱いても反応が薄い/親と視線が合わない
- ぐったりしている、反応が鈍い
- うなっている(呻吟)
- 陥没呼吸(胸がへこむ)
- 呼吸が速い、呼吸が苦しそう
生後3か月未満の発熱は「別格」

生後3か月未満は、38.0℃以上の発熱があれば速やかに受診が必要です。
新生児(生後1か月未満)は、特に悪化のスピードが早く、早急な対応が必要です。
理由は以下の通りです。
- 免疫が未熟で重症化しやすい
- 症状がわかりにくく評価が難しい
- ワクチン未接種で防御が弱い
- 敗血症・尿路感染症・肺炎・髄膜炎(重症細菌感染症)の確率が3か月以降より有意に高い
- さらに、新生児に近いほど重症細菌感染症の確率が上がる
そのため医療側は、安全のために検査や治療を広めに行います。
実際に生後1か月のこどもでは少しぐったりしている程度で、数時間後には生命に関わるほど重篤になるケースが珍しくありません。
生後3か月未満で行われやすい検査・治療
生後3か月未満の発熱では、
- 血液検査
- 尿検査
- 胸部レントゲン
- 必要であれば髄液検査
などを行うことがあります。
保護者としては「検査が多い」と感じることがあっても、月齢的な安全策です。
生後3か月未満の発熱では、重症細菌感染症の可能性を否定しきれないことが多く、
抗菌薬投与のハードルも下がり、前のめりに治療が行われます。
そのため、多くの場合入院となります。
生後3か月未満のこどもでは状態が悪化するスピードが早いという特徴があるためです。
一見元気に見えても、短時間で急変する可能性があるため、
安全のために入院で経過をみることが多いです。
2歳未満は「発熱だけ」でも尿路感染症に注意

2歳未満では、発熱以外の他の症状がなくても尿路感染症が原因のことがあります。
尿路感染症は
- 「発熱だけ」
- 「機嫌が悪い」
- 「哺乳低下」
だけで始まることもあり、見逃されやすいのが特徴です。
特に尿路感染症をすでに発症したことのあるこどもでは注意が必要です。
発熱を伴う尿路感染症(腎盂腎炎など)の場合、入院のうえ抗菌薬の点滴治療が必要になります。
疑わしい症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
家庭でできるケア

解熱剤(アセトアミノフェン)の考え方
解熱剤は「熱を下げる薬」ですが、目的は体温の数字を下げることではなく、「つらさを和らげること」です。
使うとよい場面
- ぐったりしている
- 水分や食事が取れない
- 眠れない
使わなくてもよい場面
- おもちゃで遊べる
- よく眠れている
- 水分や食事が取れている
高熱でも元気なら、使わない選択も合理的です(使ってもよいですが必須ではありません)。
アセトアミノフェン(カロナール)は月齢や体重で使い方が異なるため、医師の指示に従ってください。
(6か月以降を中心に処方する施設が多いです。3か月未満は適応がありません。)
冷やす?冷やさない?
基本は氷枕よりも、室温・衣類調整です。
本人が暑がってつらいときは、補助的に冷やすのは有効です。
一方で、悪寒戦慄(寒がって震えている)ときは温めてあげてください。
家庭での受診目安
次の場合は医療機関を受診してください。
- 水分や食事が普段の半分も摂れない
- 頻回の嘔吐
- 排尿が8〜12時間以上ない
- けいれんが5分以上続く
- 発熱が3〜4日以上続く
- ぐったりしている、呼吸が苦しそう
- 意識状態が悪い
救急車を呼ぶ目安

発熱があっても多くは緊急性の高い病気ではありません。
しかし、以下のような症状がある場合はためらわず救急車を検討してください。
① 意識状態が悪い
- 呼びかけても反応が弱い
- 目が合わない
- 刺激しても起きない
- 抱いてもぐったりしている
② けいれんが5分以上続く
- けいれんが止まらない
- 繰り返し起こる
- けいれん後に意識が戻らない
③ 呼吸状態が悪い
- 呼吸が速い
- 陥没呼吸(胸がへこむ)
- 鼻翼呼吸(鼻がヒクヒクする)
- うなっている(呻吟)
- 唇や顔色が紫っぽい
④ 顔色が極端に悪い・四肢が冷たい
- 手足が冷たい
- 皮膚がまだら
- 明らかにぐったりしている
⑤ 強い頭痛や持続する激しい嘔吐
- 吐き続けて水分が取れない
- 強い頭痛を訴える
- 首を動かすと強く痛がる
迷った場合は、「いつもと明らかに違う」という直感も大切です。
救急相談(#7119)などを活用するのもよい方法です。
入院になるのはどんなとき?

次の場合は入院が必要になることがあります。
- 脱水
- 低血糖
- 経口摂取不良
- 呼吸状態が悪い
- ぐったりしている
- 意識状態が悪い
- 点滴での抗菌薬投与が必要
- 川崎病の治療が必要
- 生後3か月未満(基本的には入院になることが多い)
登園・登校の目安
登園・登校の目安
38℃未満が24時間以上続き、元気が戻っていれば登園・登校可
ウイルス感染では「午前中に下がって午後に上がる」こともありますので、24時間の解熱確認が必要になります。
体温だけでなく、食事・睡眠・機嫌など全身状態も含めて判断し、園や学校のルールも優先してください。
よくある質問(Q&A)

Q 熱が高いほど重症?
高熱があるとしんどさは増すかもしれませんが、高熱=重篤な細菌感染症というわけではありません。
体温の数字より、全身状態が重要です。
Q 解熱剤で免疫が弱る?
そのようなことはありません。
元気がない、水分や食事が摂れない、眠れないなどの症状があれば積極的に使用してあげてください。
Q 食欲がないとき、無理に食べさせる?
少量ずつでOKです。
発熱中は好きなものしか食べない子もいますが、それでも構いません。
ただし普段の半分も摂取できない場合は早めに受診してください。
Q お風呂は入っていい?
熱が高くなければ、短時間のシャワーは可です。
ぐったりしている場合は無理をせず、体を拭く程度でも大丈夫です。
まとめ(Take Home Message)

発熱はよくある症状だが、見逃してはいけないサインもある
体温の数字より、全身状態を重視する
生後3か月未満は38℃以上で速やかに受診
解熱剤は「熱を下げるため」より「つらさを和らげるため」に使う
意識・けいれん・呼吸・顔色など危険サインがあれば救急要請を検討する
あとがき
発熱は保護者にとって不安になりやすい症状です。
ですが、見るべきポイントを押さえると「受診すべきか」「家で様子を見るか」が整理できます。
不安が強いときは、迷わず医療機関や相談窓口に連絡してください。
日本小児救急医学会 編.小児救急標準テキスト basic編. 中外医学社. 2023
岡本充宏. 小児科ですぐに戦えるホコとタテ. 診断と治療社. 2022
厚生労働省.保育所における感染症対策ガイドライン:発熱時の対応.https://www.mhlw.go.jp/
最後までお読みいただきありがとうございます。
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