【小児科医が解説】こどもの「片頭痛」サインの気づき方と、おうちでできる予防・お薬のコツ
こんにちは、現役小児科医の『つき先生』です (医師5年目、小児科専攻医)。
お子さんが「頭が痛い…」と寝込んでしまったり、痛みが強くて学校を休む日があると、代わってあげたいくらい辛いですよね。
「ただの風邪じゃないのかな?」「こんなに痛がるなんて大丈夫?」と不安になるパパやママも多いと思います。
実は、大人の病気と思われがちな「片頭痛」は、こどもにも非常によく見られます。
データによると、小学生の約3.5%、中学生で約5.0%、そして高校生になると約15.6%(なんと6〜7人に1人!)が片頭痛を持っていると言われています。
「もしかしてうちの子も?」と気づくためのサインと、いざという時にパパママがサッと動ける正しいホームケア・お薬の使い方を、専門書やガイドラインに基づいてわかりやすくお伝えしますね。
これって片頭痛?見分けるためのサインと「こども特有」の症状

こどもの片頭痛は、大人と少し違う特徴があります。
大人は半日〜3日ほど長引くことが多いですが、こどもは持続時間が短く、数時間でケロっと治ることもよくあります。
以下のサインに当てはまるか、お子さんの様子をチェックしてみてください。
脈打つように「ズキン、ズキン」と痛がる
心臓のドクン、ドクンという動きに合わせて痛むのが特徴です。
大人は「頭の片側」が痛むことが多いですが、こどもの場合は「両側(おでこやこめかみ全体)」が痛くなることが多いです。
光・音・「ニオイ」を嫌がる
ここが片頭痛を見分ける大きなポイントです。
小さな子は「まぶしい」「うるさい」と言葉で表現するのが難しいため、
「頭が痛い時に、自分から暗い部屋や静かな部屋に行きたがるか?」という『行動』で推測してみてください。
気持ち悪くなる、吐いてしまう(嘔気・嘔吐)
頭痛と一緒に顔色が悪くなり、吐き気を訴えたり、実際に何度も吐いてしまうことがあります。
こどもの場合、頭痛よりも激しい嘔吐がメインに現れる「周期性嘔吐症(自家中毒)」という病気があり、この周期性嘔吐症の子の約半数以上が、大きくなると片頭痛に移行すると言われています。
痛くなる前の「前兆・予兆」
頭痛が起こる数時間〜数日前に「あくびが出る」「気分が落ち込む・逆に興奮する」といった予兆が出る子や、頭痛の直前(5〜60分前)に「目の前がチカチカする(閃輝暗点)」といった視覚の前兆が出る子もいます。
痛がっている時の「正しいホームケア」と生活習慣

片頭痛が起きた時の対応
お子さんが片頭痛を起こしてしまったら、パパママは以下の手順でケアをしてあげてください。
暗くて静かで、ニオイのない部屋で寝かせる
片頭痛の時は、脳がさまざまな刺激に対して過敏になっています。
テレビやスマホは消して、カーテンを閉め、家族も少し静かに過ごしてあげてください。
痛む場所を「氷枕」などで冷やす(※温めるのはNG!)
片頭痛は、頭の血管がドクドクと広がって(拡張して)神経を刺激することで起こります。
そのため、氷枕などでおでこやこめかみを冷やしてあげるのが基本です。
お風呂で温まったり、首や肩を温めたりすると痛みが悪化することがあるので避けてください
実は僕自身も片頭痛持ちなのですが、痛い時に「冷えピタ(冷却シート)」をおでこに貼ると、スーッとして本当に楽になります。
ご家庭の冷蔵庫に常備しておくのを個人的に強くおすすめします!
注意すべき頭痛
こどもの片頭痛は「両側・おでこ」が痛むことが多いですが、「後頭部(うしろあたま)」を痛がる場合は、別の病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。
また、「今まで経験したことがないほど激しく痛がる」「朝起きてすぐ吐く」といった症状がある場合は、急いで病院に受診してください。
日常生活で気をつけること(予防と他の病気との関わり)
お薬を使わずに片頭痛を減らすための、生活習慣のポイントです。
規則正しい生活
早寝・早起き・「朝ごはん」をしっかり食べることが非常に重要です。
空腹や睡眠不足は片頭痛の引き金になります。
睡眠の質を下げない
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう症)、気管支喘息などがあると、夜ぐっすり眠れず、それが片頭痛を悪化させる原因になることがあります。
鼻炎などがある場合はしっかり治療しましょう。
誘因を避ける
ストレス、疲労、強い光、特定の食べ物に加えて、「気圧の変化(雨の日や台風の前)」や「急激な寒暖差」が引き金になる子も非常に多いです。
ただし、過度な制限はかえってこどものストレスになるため、「天気が悪い日は無理をさせない」程度の適度な回避を心がけてください。
★小児科医の視点「受診の前に『頭痛ダイアリー』をつけてみよう」
小児科医としてパパやママにぜひお願いしたいのが「頭痛ダイアリーの記録」です。
- いつの時間帯に痛がったか?(天気はどうだったか?)
- どのくらい痛みが続いたか?吐き気はあったか?
- お薬を飲んで効いたか?
これらをカレンダーなどにサッとメモして持ってきていただけると、私たち小児科医は「これは本当に片頭痛か?お薬の量は合っているか?」を非常に正確に診断できます。
さらに、記録をつけることで親御さん自身が「うちの子は雨の日の前日に痛がっているな」と客観的に気づくきっかけにもなります。
お薬の正しい使い方と注意点

片頭痛の場合は「痛みがひどくなる前(痛くなり始め)」にお薬を飲むのが一番効果的です。
これが鉄則です!
痛みがピークに達してからではお薬が効きにくくなりますし、「吐き気・嘔吐」が始まってしまうと、飲み薬を飲むこと自体ができなくなってしまいます。
使えるお薬(第一選択)
小児科のガイドラインでも安全性と有効性が推奨されている「イブプロフェン」(5歳以上が適応)や、「アセトアミノフェン(カロナールなど)」を使います。
我慢させずに早めに飲ませてあげてください。
【重要】市販薬の「使いすぎ」には要注意!
市販の頭痛薬の多くは「複合成分(いろいろな成分が混ざっている)」のお薬です。
これらを「月に15回以上」と頻繁に使いすぎると、脳が痛みに敏感になり、かえって頭痛がひどくなる「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」という状態になりやすいので要注意です。
頻繁に痛がる場合は必ず小児科を受診してください。
学校との連携について
(小児の片頭痛は誤解されやすい!)

こどもの片頭痛は「持続時間が短く、数時間でケロっと治る」という特徴があります。
そのため、痛みが治まった後に元気に遊び始めると、周りの大人から「学校を休むための怠けじゃないの?」「気の緩みでしょ」と誤解を受けやすいという非常に辛い側面があります。
しかし、片頭痛は「いわゆる頭痛持ち」という体質であり、痛みの最中、本人は動けなくなるほどの強烈な苦痛と闘っています。
さらに、思春期に多い「起立性調節障害(朝起きられない病気)」のお子さんは片頭痛を合併しやすいことも分かっています。
この病気もまた「朝サボっているだけ」と誤解されやすいため、お子さんが一人で二重の苦しみを抱え込んでしまうケースも少なくありません。
だからこそ、「頭が痛くなったら無理をせず、早めに保健室で休ませてもらう」「場合によっては、早退や遅刻という選択肢も考慮してもらう」など、パパママとご本人が痛みの辛さを共有し、学校の先生や保健室とも「怠けではなく体質・病気である」としっかりと連携をとることが、お子さんを心理的なストレスから守るために非常に大切です。
片頭痛はずっと続くの?(大人になるにつれて治る?)

「この痛みが一生続くの?」と心配になるかもしれませんが、安心してください。
海外の長期的なフォローアップ研究(Billeらの研究など)によると、小児期に片頭痛と診断されたお子さんの約30〜40%は、大人になるにつれて頭痛が完全に消失(寛解)するというデータがあります。
- 男の子の場合
思春期を過ぎると、自然に治っていく(寛解する)傾向が強いことが分かっています。 - 女の子の場合
思春期以降、女性ホルモン(エストロゲン)の変動の影響を受けるため、大人になっても片頭痛を持ち越す(または悪化する)傾向が男性よりも強くなります。
片頭痛は、パパやママの「家族歴(遺伝的な体質)」が影響することも多く、ある程度は長期間付き合っていく必要がある病気です。
「月に何度も頭痛で学校を休んでしまう」という場合は、片頭痛専用のお薬(トリプタン製剤)や「予防薬」の選択肢もありますので、一人で悩まずに必ずかかりつけの小児科でご相談くださいね。
まとめ(Take Home Message)

こどもの片頭痛は「両側」が痛むことが多く、数時間で短く治ることも多い。
光・音・においを嫌がる場合は「暗く静かな部屋」で休ませるのが一番の薬。
痛む場所は「冷やす」のが鉄則!温めると悪化するので注意。
お薬は痛みがピークになる前の「早め」に飲む。ただし月15回以上の使いすぎはNG。
「怠け」と誤解されやすいため、学校や保健室としっかり情報共有を!
小児科医おすすめのケアアイテム

僕自身も片頭痛持ちなのですが、痛い時に以下のようなアイテムを使うと本当に楽になります。ご家庭の冷蔵庫などに常備しておくのを個人的に強くおすすめします!
片頭痛の鉄則「冷やす」ための必須アイテム
片頭痛は血管が拡張して痛むため、「おでこやこめかみを冷やす」のが一番のホームケアです。
発熱時だけでなく、頭痛対策として「冷却ジェルシート」や、しっかり冷やせる「氷のう(アイスバッグ)」を常備しておきましょう。
睡眠の質を上げて片頭痛を予防する救世主
副鼻腔炎や鼻水で「夜ぐっすり眠れない(睡眠不足)」状態は、片頭痛を悪化させる大きな原因になります。
お家でしっかり鼻水を吸って安眠させてあげることは、頭痛の予防にも直結します。
吸引力がしっかりしている据え置き型の電動吸引器が圧倒的におすすめです。
- 日本頭痛学会『頭痛の診療ガイドライン』
- 国際頭痛学会『国際頭痛分類 第3版 (ICHD-3)』
- Bille B. “A 40-year follow-up of school children with migraine” (Cephalalgia, 1997)
- 笠井正志(監修), 金森啓太(著者),『小児神経のトリセツ』, 金原出版株式会社
- 東京医学社『小児内科 第52巻増刊号 小児疾患診療のための病態生理1 改訂第6版』
- 藤田光江(監修),『小児・思春期の頭痛の診かた』, 南山堂
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログでは「こどもの病気や健康」に関する正しい情報を小児科医の視点からお届けしています。
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