【小児科医解説】手足口病の症状・いつから登園できる?食事の工夫や大人の感染、ヘルパンギーナとの違い
こんにちは、現役小児科医の『つき先生』です (医師5年目、小児科専攻医)。
夏が近づくと、保育園や幼稚園で必ずと言っていいほど大流行する「手足口病」。
手足の水ぶくれに加え、口の中の痛みが強いため、お子さんがご飯を食べられなくなってしまい、心配でたまらないパパやママも多いのではないでしょうか。
小児科の診察室でも、「いつから保育園に行っていいの?」「大人の私にもうつる?」「水分も飲んでくれないけど大丈夫?」といった切実なご相談を毎日のように受けます。
この記事では、手足口病の初期症状から、お家でできる痛みを和らげる食事の工夫、登園の目安、そしてよく似ている「ヘルパンギーナ」との見分け方まで、現場の小児科医の視点でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 手足口病の初期症状と、発疹が出やすい部位
- 口を痛がって食べない時の食事と「低血糖」予防
- 保育園や幼稚園に登園できる目安
- お風呂に入っていいかの基準
- 手足口病とヘルパンギーナの違い
- 救急車を呼ぶ・再受診する重症化のサイン
手足口病とは?
手、足、口の中に水ぶくれのような発疹ができるウイルス性の感染症です。5歳未満の乳幼児に多く見られますが、大人にうつることもあります。
おうちでのケアのポイント
- 口が痛くて食べられない時
プリン、ゼリー、アイスクリーム、お豆腐など、噛まずに飲み込める冷たいものを少しずつあげましょう。 - 脱水と低血糖に注意
水や麦茶だけでなく、甘い飲み物(経口補水液やリンゴジュースなどしみにくいもの)で「糖分」を補給することが重要です。 - 予防法
アルコール消毒は効きにくいウイルスです!流水と石鹸での手洗いが一番の予防になります。
迷わず救急・再受診の目安
- ぐったりしている、呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)を起こした
- 何度も吐いている、ひどい頭痛を痛がる
- 半日以上おしっこが出ていない(脱水)
手足口病とは?どんなウイルスが原因?
手足口病は、主に夏(6月〜8月ごろ)に流行のピークを迎え、秋から冬にかけて徐々に減っていくことが多い感染症です。
原因となるのは、「エンテロウイルス」や「コクサッキーウイルス」といったウイルスの仲間です。
実は原因となるウイルスがいくつか種類があるため、ひと夏に2回、3回と手足口病にかかってしまうことも珍しくありません。
患者さんの多くは5〜7歳未満の乳幼児ですが、看病している保護者の方(大人)に感染することもあります。
★小児科医の視点
手足口病のウイルスは、症状が良くなった後も長期間(4〜6週間程度)、便の中にウイルスが排泄され続けます。
そのため、保育園などで完全に隔離して感染を防ぐことは非常に困難です。
「かかってしまうのはある程度仕方ない」と割り切りつつ、オムツ替えの後の手洗いなどを徹底することが大切です。
手足口病の症状(発疹・発熱)
手足口病のウイルスに感染してから、4〜7日間の潜伏期間(症状が出ない期間)を経て、以下のような症状が現れます。
1. 手足や口の中の発疹(水ぶくれ)
2〜3mm程度の、少し赤く盛り上がった発疹(小丘疹)や水ぶくれが出現します。
出やすい部位は名前の通り、手掌(手のひら)、足底(足の裏)、口腔粘膜(口の中)ですが、実はそれ以外にも、手の甲や腕、足の甲やふくらはぎ、おしり周りに出ることもよくあります。
手足の発疹は、強いかゆみや痛みを伴うことは少ないのが特徴です。
2. 発熱
熱が出るのは患者さんの3分の1程度です。
熱が出た場合でも、38度台まで上がることが多いですが、通常は2〜4日程度で自然に解熱します。
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3. 爪が剥がれる後遺症?
原因となったウイルスの種類(コクサッキーウイルスA6型など)によっては、手足口病が治ってから数週間(1〜2ヶ月)後に、手足の爪が浮いてきてペロリと剥がれ落ちることがあります。
初めて見るとびっくりしてしまいますが、痛みはなく、下から新しい綺麗な爪が生えてきますので心配いりません。
ご飯が食べられない!痛い時のホームケアと食事
手足口病で一番厄介なのは、口の中の粘膜にできる小さな潰瘍(口内炎のようなもの)です。
これが非常に痛むため、お子さんは機嫌が悪くなり、ご飯を食べたり水分を摂ったりするのを嫌がってしまいます。
おすすめの食べ物・飲み物
喉ごしが良く、噛まずに飲み込める、冷たいものがおすすめです。
- プリン、ゼリー、アイスクリーム
- 冷ましたお豆腐、茶碗蒸し
- 冷めたうどん、そうめん
- イオン水、麦茶
避けた方がいいもの
酸味のあるものや、塩辛いもの、熱いものは激痛が走るので避けましょう。
★小児科医の視点
「ご飯を食べないんです」と心配されるパパやママが多いですが、数日間まともな食事ができなくても、すぐに栄養失調になることはありません。
しかし、大人が気をつけるべきなのは脱水と低血糖です。
子どもは体の中に糖分(グリコーゲン)を貯めておくタンクが小さいため、食事がとれない状態が続くと、血糖値が下がってぐったりしてしまうことがあります(ケトン性低血糖症)。
水やお茶だけでは糖分が補給できません。
口が痛い時は、アイスクリームやゼリー、お砂糖の入ったイオン飲料、リンゴジュース(柑橘系はしみるのでNG)など、とにかく「甘くて冷たいもの」を少しずつ口に運んであげてください。
もし痛みが強くて水分も取れない場合は、処方された「解熱鎮痛薬(カロナールやアンヒバなど)」を痛み止めとして使ってあげてください。
痛みが和らいでいる間に、少しでも糖分と水分をとらせましょう。
手足口病とヘルパンギーナの違いは?
夏の小児科で手足口病と同じくらいよく見かけるのが「ヘルパンギーナ」です。
この2つはウイルスの種類が似ている「親戚」のような病気で、症状も似ています。
| 特徴 | 手足口病 | ヘルパンギーナ |
|---|---|---|
| 発熱 | 3分の1程度。微熱〜38度台が多い | 突然の高熱(39度以上)が出ることが多い |
| 口の中の発疹 | 口の中全体、唇の裏、舌などにできる | 喉の奥(軟口蓋)を中心にできる |
| 体・手足の発疹 | 手のひら、足の裏、おしりなどにできる | 手足にはできない |
| 原因ウイルス | エンテロウイルス、コクサッキーウイルス | 主にコクサッキーウイルスA群 |
どちらも特効薬はなく、対症療法(痛みを和らげたり、水分をとったりする)になるため、ご家庭でのケアの方法は基本的に同じです。
重症化のサイン!救急車や再受診の目安
手足口病は基本的には数日で自然に良くなる軽い病気ですが、ごく稀に「無菌性髄膜炎」や「脳炎」、心臓の筋肉に炎症が起きる「心筋炎」などの合併症を引き起こすことがあります。(特に「エンテロウイルス71型(EV71)」というウイルスが流行した年は注意が必要です)
また、熱の上がり際に「熱性けいれん」を起こすこともあります。
お家で様子を見ている時に、以下のような症状があれば、夜間でもためらわずに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼んでください。
- 激しい頭痛や、何度も吐く(髄膜炎の疑い)
- 意識がぼんやりしている、呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)を起こした
- 手足がガクガクと震えている
- 呼吸が速い、息苦しそう、唇の色が悪い(チアノーゼ)
- 半日以上おしっこが出ず、ぐったりしている(脱水症状)
「ただの手足口病だと思っていたのに…」とならないよう、頭を痛がったり、吐き気が強い時は必ず再受診してくださいね!
大人にもうつる?感染経路と予防法
手足口病は子どもだけの病気と思われがちですが、大人にも感染します。
大人が感染すると、子どもよりも発疹の痛みが強く出たり、高熱が出たりと重症化しやすい傾向があります。
感染経路
- 飛沫感染: 咳やくしゃみのしぶきを吸い込む
- 接触感染: ウイルスがついたおもちゃやドアノブなどを触った手で、口や鼻を触る
- 糞口感染: 便の中に排泄されたウイルスが、オムツ替えなどの際に手につき、そこから口に入る
アルコール消毒は効きにくい!
手足口病の原因となるエンテロウイルスなどは「ノンエンベロープウイルス」と呼ばれ、一般的なアルコール消毒があまり効きません。
最大の予防法は「流水と石鹸による丁寧な手洗い」です。
特におむつ交換の後や、食事の前は、親御さんもお子さんも、しっかりと手を洗いましょう。また、タオルを共用しないことも大切です。
手足口病のとき、お風呂は入っていいの?
診察室でよく聞かれる質問の1つです。結
論から言うと、熱がなく、本人が元気であればお風呂に入って構いません。
ただし、以下の点に注意してください。
- シャワー浴がおすすめ
湯船に長く浸かると、体が温まりすぎて水ぶくれのかゆみが出ることがあります。サッとシャワーで汗を流す程度が安心です。 - タオルの共用はNG
家族への感染を防ぐため、体を拭くバスタオルは必ず患者さんと別のものを使用してください。
保育園・幼稚園はいつから登園できる?
「熱も下がったし、発疹もかさぶたになってきたけど、いつから保育園に行っていいの?」と迷いますよね。
手足口病には、インフルエンザのような「発症した後〇日は出席停止」という明確な法律の基準はありません。
厚生労働省のガイドラインによる登園の目安は以下の通りです。
「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」
発疹が完全に消えるまで休む必要はありません(便からのウイルス排泄は長期間続くため、休ませても感染拡大を完全に防ぐことはできないからです)。
ただし、園によって独自のルールを設けている場合があるため、登園する前に必ず通っている保育園や幼稚園に確認しましょう。
まとめ
手足口病は、夏の小児科では本当によく遭遇する病気です
口が痛くて食べられない時は、「脱水予防」が最優先!
酸味のあるものは避け、プリンやアイス、麦茶などを少しずつ。
痛み止めの薬を上手に使って、水分をとらせてあげましょう。
感染予防の基本は「流水と石鹸での手洗い」です。
同じく夏に流行しやすい溶連菌感染症については以下の記事で解説しています。
あとがき
手足口病で口を痛がって泣き叫ぶわが子を見ると、「代わってあげたい」と心から思いますよね。
特に、お茶やご飯を一口口に入れるだけで泣いてしまう姿は、親として本当に辛いものです。
「食べないから治らないんじゃないか」と焦ってしまうかもしれませんが、大丈夫です。
人間の体は、数日食べられなくても水分さえ少しずつ取れていれば、しっかりウイルスと戦うことができます。
今は栄養バランスは一旦忘れて、「この子が口にできるもの、冷たくて甘いもの」を最優先にあげてください。
看病疲れでパパやママまでダウンしてしまわないよう、手洗いだけはしっかりして、休める時は少しでも体を休めてくださいね。
もし、おうちでのケアに不安がある時は、いつでも小児科医を頼ってください。
- 厚生労働省:手足口病
- 東京医学社『小児内科 第52巻増刊号 小児疾患診療のための病態生理1 改訂第6版』
- 小児科ですぐに戦えるホコとタテ. 診断と治療社, 2022年.
- 山田健太著. 笠井正志・伊藤健太監修. 小児感染症のトリセツ2025疾患編. 金原出版; 2025
本記事は一般的な医療情報を解説するものです。
次の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・ぐったりして元気がない
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・水分がとれない、尿が極端に少ない
・けいれんが5分以上続く
上記以外でも「いつもと違う」「判断に迷う」場合は、
早めに医療機関へご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
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